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nSight 2026:銀行業界においてAIが「戦略」から「実行」に変わった年

nSight 2026 mainstage
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シャーロットでの3日間で、一つのことがはっきりした。先を行く銀行は、AIについて語るのをやめ、実際に動き始めている。

AIは、これまでどんなテクノロジーよりも速いスピードで銀行業務を塗り替えている。今この瞬間に先行している金融機関に共通するのは、AIを使って行員に時間を取り戻し、成長とお客様との関係構築に集中できる環境をつくっているということだ。

それがnSight 2026のテーマだった。今年5月、ノースカロライナ州シャーロットに世界中の顧客・パートナー・業界リーダーが集まり、その未来をともに深堀りした。参加者同士の交流、nCinoの製品チームとの対話し、プラットフォームの最新機能やAIツールのハンズオンの体験を提供した。

nSight 2026 recap

4つのテーマで振り返るnSight 2026

1. AIバンキングから「AIネイティブバンク」へ

冒頭の基調講演で、nCino CEOのSean Desmondはこう言い切った。変革はもはや選択肢ではなく、競争を生き抜くための必須条件だ。AIは銀行業界を変えており、今この瞬間に勝つ金融機関は、待つのではなく動いている。

「問うべきは、変化に適応するかどうかではない。あなたがリーダーになるかどうかだ——役職は関係ない。これは大きなうねりなんだ。」— Sean Desmond(nCino CEO)

Seanが示したのは、この転換期をリードするための3つの条件、信頼(Trust)・時間(Time)・成果(Outcomes)だ。

あらゆるAI判断の土台となる信頼、行員に返すべき時間、顧客が実感し銀行が指し示せる成果——この3つが揃って初めて、変革は本物になる。データも力強く後押しする。イベントで発表された「nCino Banking AI Benchmark」最新版によると、銀行経営者の84%が全社レベルでAIを導入済み。89%が「5年以内に自社はAIエージェントと人間チームの組み合わせになる」と見込んでいる。

問いはすでに「動くかどうか」から「どうすればうまくやれるか」に移っている。ConnectOne BankのChairman兼CEOであるFrank Sorrentino氏もステージに立ち、「全力で取り組む」とはどういうことかを体現してみせた。建設業出身のSorrentino氏らしい言葉がある。「効率性とはスピードだ」。AI観もそこから直結する——エージェント型ツールを最前線の行員の手に渡し、より良い意思決定を支える。それだけだ。

2. デュアルワークフォース——行員に「価値ある時間」を

Sorrentino氏が掲げた目標は明快だった。すべての最前線行員で50%の効率向上、一人あたり年間1,000時間を、本当に意味のある仕事のために取り戻す。

メインステージでは、nCino CPOのChris Guffordがその未来に名前をつけた。デュアルワークフォースだ。人間とAIエージェントが役割を分担し、エージェントが事務的な業務を実行することで、行員は判断・顧客との対話・収益成長に集中できる体制のことを指す。

nCinoでは現在、実際の銀行業務ロールに対応したExecutive、Analyst、Service、Processor、Clientの5つのデジタルパートナーが本番稼働中だ。

「私たちはAIツールを売っているのではなく、同僚を提供している。彼らは24時間365日稼働する。つまりあなたの行員は、毎朝フル稼働の状態からスタートできる。」
— Chris Gufford(nCino CPO)

WaFd BankのSVP Jill Boyle氏はその実例を披露した。同行はnCinoのAnalystデジタルパートナーを導入し、かつて手動でスプレッドシートに入力していたローン文書レビューとコベナント業務を自動化。チームはその分の時間を、インサイトの活用・リレーションシップ構築・地域での新機会発掘に充てられるようになった。

3. 世界中の顧客が証明している

nSight 2026の顧客事例は文字通りグローバルに及んだ。

nCino EMEA Managing DirectorのJoaquín de Valenzuela氏が進行するパネルでは、MUFGのJane Woodley氏が現在テスト中のPoCから印象的な成果を紹介した。複雑なプロジェクトファイナンスローンのコベナント抽出は、かつてアナリストが2〜3時間を費やしていた作業だ。それが今は、数分の処理とアナリストによる簡単な確認だけで終わる。

Woodley氏のこんな言葉が会場の心に響いた。銀行は何百年もの間、同じやり方を続けてきた。既存のプロセスに合わせてプラットフォームを無理やり合わせるのではなく、業界最高水準のプラットフォームをそのまま受け入れることで、規制の変化にも柔軟に対応できる銀行が生まれる——そのたびにゼロから考え直す必要がなくなる、ということだ。

2日目、nCino CMOのNicole Caldwellがパネルゲストに迎えたのはAtlantic Union Bankだった。同行は過去8年間、4度の買収と自社成長を重ね、資産規模を78億ドルから370億ドルへと約5倍に拡大させた。EVP David Ring氏は、nCinoが整備したワークフロー・標準化されたプロセス・レポーティング基盤が、買収を次々と実行しスケールしていく原動力になったと振り返る。財務諸表のスプレッディング、コベナントモニタリング、賃貸契約書や保険書類のレビューにもAIを活用した結果、nCinoおよびその他のAIツールとの組み合わせで、過去2年間で担当ブック数が56%増加した。

4. 人こそが、戦略の核心だ

AIをめぐって現場が本当に感じていることを、Nicoleはこう言葉にした。

「人々が怖がっているのは変化そのものではない。変化の過程に置いてけぼりにされること、関わらせてもらえないことを恐れているのです。」
— Nicole Caldwell(nCino CMO)

nCino CTOのWill Jung氏とAWSの銀行担当ヘッドCharith Mendis氏が示したのは、AI変革を正しく進めるための3ステップ。

問題→コンテキスト→人材、この順番だ。まず、明確な問題から始める。最も速く進んでいる金融機関は、大きな変革を待たずに、小さく具体的な問題を今すぐ解いている。

「もっと効率的になりたい」という漠然とした目標は停滞を生む。自社の強みに根ざした問題こそ、AIが動かせるものだ。次に、コンテキストを重ねる。汎用のAIは汎用の自動化しか生まない。金融機関には、インターネット上には存在しない固有の知識がある——具体的なポリシー、顧客情報、意思決定が組織をどう流れるか。それを持ち込んで初めてAIは機能する。

そして最後に、人材。日々の業務を担うチームこそ、AIがどこで役に立ちどこで邪魔になるかを最初に気づく。展開後ではなく、設計段階から前線チームを巻き込む。それが変化を定着させる唯一の道だ。

nSight 2026が示したのは、金融機関がAI戦略フェーズから実行フェーズへ踏み出せるし、踏み出すべきだということだ。

参加者はフレームワーク(信頼・時間・成果)と、それを実現するモデル(デュアルワークフォース、5つのデジタルパートナーが既に本番稼働中)と、先を行く同業他社のリアルなインサイトを手に携えて帰路についた。

nSight 2027は来年5月11〜13日、再びシャーロットで開催される。今後1年間で顧客が生み出す成果を、ともに祝えることを楽しみにしている。